第35章 成長
ラウル(ティオネやティオナさんはまだ遠い。俺が…ここで倒すしか!)
「何だ、その短剣は?
それで相手取るつもりか?
ふざけるな!!」ぶんっ!!
大きな巨体、振り上げられる大剣。
受け止めちゃダメだ。
自分に合った動きで、一番力の籠ったそれを食らわせてやれ!
そうすれば…風月流は負けない。
相手の力を流れとして感じる。
相手の動きの流れを脳に捉えた。
ラウル(そして…断ち切る!)
がっ!!
ごぉん!!!!!!!!(大剣が床に減り込む)
「なっ」
ラウル(そのまま相手の目へ!)
「くっ!!
ぬおおおおおお!!!」
ラウル「!(頭突き!?」
下へ掻い潜っての頭突き。
この場合は…
頭を両手で押さえながら顎へ膝蹴り上げ!!
「ぐふぉっ!!」
そのまま胸元を蹴って、後ろへ回転して着地!
だんっ!
ずさああっ!!
「くっ…なんだ、お前は。
(Lv.いくつだ!?見えなかったぞ!」くらくら
ラウル「すぅー…『冒険者』っすよ」
「Lv.は!?」
ラウル「答える義理はないっす!!
(息を小さく、深く吸う、それと同時に周囲の魔力を吸って…刀身!に!!」
刀身に魔力を集めるや否や、左逆手に持った短剣を後ろへ振り被って前へ振った。
ラウル「刃っ!!」
「!!」
がきぃ!!!
飛ばされた魔力の刃に、敵の大男は大剣を盾代わりに防ぐ。
「ちっ。このガキっ!」すっ
しかし、その次の瞬間から彼は動いていた。
大剣と共に手を下ろす中、それで生まれる死角へと走り込む。
ラウル(クリエイト・変形。
周囲の魔力と共に、槍へ!)
直後、その影から身を滑らせて突きを繰り出す。
ラウル「くっ!!
(ぎり)…(やっぱり効かない」
その敵はLv.7、それをラウルが知るのはまだ先。
そしてラウルのLv.は6だった。