第35章 成長
ケイト「すーすー」
フィン「…っ」ぽろっ
護られた命…生きていると感じさせる寝息と、穏やかな表情……
フィン「…よかった…」
ぼろぼろと涙が零れ落ちては止まらなくなった。
目の前で失った両親…それとは違い、ようやく護り抜けた。
フィン「今度こそ…護れたっ;;
ケイト…っ」
今度こそと…何度も、何度も、助けようとした。
だが…間に合わなかった。護れなかった命の方が多い。
その内、切り捨てることを覚えてしまった。
それをケイトが…引き戻してくれた。
この光景が輝かしく、眩しく…尊く感じてやまなかった。
この結果へと結び付けれたことが、嬉しくて仕方なかった。
彼女を抱き締め、その温もりへと身を埋め、ひたすらに…感情のまま、咽び泣いていた。
精霊王「どれ。ここらがいいか」ぴとっ
そう壁に触れた瞬間、魔力が吸い込まれてどこかと繋がるのを感じた。
精霊王「この部屋の奥、左側の壁を空間で精霊王の森へと繋げた。
ケイトが信頼する人は通れるようにしておこう。
清浄な空気、魔力に満ち満ちている。
近寄ってくるモンスターには強化種が多くての。
おっと、神までは忘れておったわ!
邪なる存在、特に人間には入ってこれんようにしとる」
フィン「ぐすっ…君は、男かい?」
精霊王「残念、無じゃ。
精霊の生みの親のようなものじゃからの。
ではケイトを運ぶ。付いてこい」
不思議な空間…壁の中に足を踏み入れると、上左右には何もなく暗闇の空間があった。
そして下には透明な床の感覚がある。その目の前には森の中でも結界に囲まれている場所だからか明るかった。
時間にして夕暮れ時、だというのに光が差し込むそれは神聖なもののように感じた。
大きな草が折り重なるそこに寝かされてから数分が経った後
ケイト「魔力ふっかぁーつ!!」拳万歳
精霊王「お主のご飯はこっちじゃ」ぐいぐい
わしと魔力を繋げたからと言って、無理をするでないぞ?と念押しし、部屋へと帰してくれた。
初めての出来事、精霊王の森での出来事は…秘匿することに決めた。
しかし次の日…大きな事件が起こった。
オラリオの外にいるLv.7が何かを仕組んでいると聞き、それの調査に向かった時に遭遇したものだ。