第33章 ケイト調査票
フィン「怪物がいなければ…両親は爪牙にかかり、死ぬことはなかった。
僕は生意気な少年のまま、あの村で生涯を終えていたはずだった。
知識だけでは英雄になど決してなり得ない。護ることさえもままならない。
あの始まりの日を否定することは、これまでの僕…勇者(フィン)を否定することに他ならない。
僕には…俺(ディムナ)には、それだけはできない」
ロキ「……」
フィン「ふっ)いや…詭弁はよそう(肩すくめ)
正確には、できなかった…彼女に出会う前までの僕ならば」なで←ケイトに頭に手を触れ、優しく撫でる
ロキ「…そうか」
フィン「ああ^^(頷)
それほどの隔たりが、モンスターとの間にはあった。
だが…」
ロキ「ドンがそれを振り払ってくれた、か?」
フィン「ああ…彼は、他のモンスターとは違う。
ケイトに言われなければ、身を挺してでも庇われなければ…
有無も言わさず、屠っていただろう。
しかし…彼女の言葉を聞く内、疑問が浮かんだ。
人間を見るや否や攻撃し屠ろうとする怪物(モンスター)…
怪物を見るや否や攻撃し屠ろうとする人間…
その両者の違いは何だ?何が違う?…とね。
やってること自体は大して変わらない。
ケイトを見るや否や中傷し、抵抗せず否定しないのをいいことに好き勝手に振る舞う街の輩とも…
そして知った…彼は、人と歩むことを選んだのだと…
でも、全ての怪物がそういうわけでもない。
彼だけが特別だと、周囲の怪物はそれを攻撃するものだという現実と向き合うことに決めた」
ロキ「受け入れ切れてへん奴もおったもんなあ」
フィン「ああ…でも、ペットのような外見に
ロキ「見た目、まんま北極熊やもんなあ。ちっこいの」
フィン「ふふっ)そうだね^^
彼は…純粋に、彼女のように守ろうと接していた(微笑)
まるで…人間以上に、愛に満ちたようにも見えた。
邪心も無ければ悪意も無い。下心も一切抱いていない。
彼女のように裏表も打算も無く…正面から向かい合ってくれた。
たとえ罵詈雑言を受けようとも、彼は…決して、自分から手を出す真似はしなかった。
人を慈しみ、愛し…寄り添い続けた」
ロキ「せやから割り切らせたんやろ。
こいつは、こいつ『だけ』は他のモンスターとはちゃうってな」
フィン「そうだろうね…」俯