第32章 破滅の狼煙
フィン「…僕は…力になれなかった。
レヴィスから護れなかった時と同じだ。
護りたかった。護れなかった…君を…傷付けてしまった。
済まない…僕は、何も力になれてない…護られてばかりだ」
ケイト「力になれてるよ。
だって…ミノタウロスから庇おうとした時、逆に庇われた。
あの時…死ぬほど後悔した。姉が目の前で破裂した光景が、目に焼き付いたそれがよぎって…止まらなくなった。
でも…そのお陰で、私は大切なことを知れたよ。自分を、大事にしていいんだって…
ブランシェから護ろうと間に割って入ってくれたことも、全部…
皆のお陰っていつも言ってたのは、それでなんだよ」涙目
フィン「…じゃあ逆に聞くけれど、僕はどんな力になれてるんだい?」
ケイト「心強い!」きっぱり
フィン「いない時だってあるだろう?…
実際…僕はあの時、君と居れなかった。駆け付けられなかった」
ケイト「いるよ」ぎゅっ
フィン「!」
ケイト「私にとってはさ…フィンが隣にいるだけで何でもできちゃう!!(ぐっ!)
それはね…気にかけてくれたり、それだけで十分伝わってくるんだよ!
だからね…傍にいないから大して力になれてないとか、そんな風に思わないで!
出会えたことこそが…私にとって、一番の幸せなんだよ^^(ぽろぽろ)
誰も守ってくれなかった。当たり前だった。
それが…違うんだって教えてくれる、皆という存在に出会えた。
皆がいなきゃ…私は、ずっと死ぬまで自分を投げ出していた。
だから…大好きなんだ。愛しくて…愛しくて…堪らないんだ;;
これから先、何されたって…私は一生…この想いに、嘘はつけないんだっ;;」震&ぼろぼろ
フィン「!…」
ぼろぼろと、嗚咽と共にケイトの双眸から零れ落ちていく涙…
それに僕は、右腕の抱き締める力を強めながら左手で後ろ頭を撫で、しゃっくりを上げ始めるケイトの口へキスを落とした。