第32章 破滅の狼煙
フィン「…そうか」
ケイト「でも、その後で咆哮したのは…
私は、ここに居るって実感したかったから…
『私は、始祖神じゃない!ケイトだ!』…そう、感じたかった。
龍人化の疑似的な状態を会得して、自分でいられるって諸手を上げて喜んだ。
でも…それ以上の敵が現れたら、使う以外の選択肢なんてないんだ。そう思ったら…恐れは、不思議とどこかへ飛んでいった。
ミノタウロス戦で護られた時、ブランシェが遠征前に襲撃してきた時…どっちも…私自身を、護ろうとしてくれたから。
身を張ってでも、助けてくれたから…
話さなかったのは…私の我が儘だ。
その前に、自分のことを知りたかった。再確認したかった。
自分とは何だろう?何で記憶喪失に至ったんだろう?
知れば知るほど怖くなった。失うことが、飲まれることが、怖くて堪らなかった。
でもさ…無理なんだ……(ぽとっ)
やっぱり…捨てられないし、捨てたくないっ!←双眸から涙が零れ落ちる
フィンが好きで仕方ない、愛しくて堪らない」ぎゅうっ
ほぼ同じ背となったケイトが、僕の背に腕を回して抱き締めてくる。
ぼろぼろと涙を零しながら、打ち明けられたその想いは…愛しさが故のものだった。
フィン「…ああ。僕も、君のことが好きで堪らない」
ケイト「あり、がと…
皆が…大好きなのに…負けたくないって…必死だった。
知れば知るほど、愛しさが増していく。大好きで仕方ない強烈な想いが身も心も焦がす。
理解すればするほど…飲まれそうになる自分を赦せない。怒りが増して、仕方ない(ぎゅううっ!)
だから……ごめん……言えなかった……
言った所で、解決なんてしないのは解り切ってたから…
負けるわけない…負けるわけにはいかない…負けたくない……
あとはもう、ただの意地だった」
フィン「……君は…君の抱く想いは、変わったかい?」
ケイト「ぜーんぜん!寧ろ、逆に強まった^^//」
フィン「ふっ)…そうだね…ちゃんと、聞こえてたよ(微笑&なでなで)
愛していると、何度でも言うと」←1076ページ参照
ケイト「うん…今も…フィンに、心から焦がれてる。
だから……ありがとう…大事にしていいんだって教えてくれて」
フィン「礼を言わないといけないのは…僕の方だ」ぎゅっ!
ケイト「?何で?」きょとん