第32章 破滅の狼煙
リヴェリア「お前はどうにも、その経験がないから気付いていないようにも見える。
一人でない経験など、まだ少ない
ケイト「わかってた。
本当は…わかってた。皆の気持ち、わかってて…それでも……
それでも…あんな力、喰らったら、普通の人、ひとたまりもない。絶対死ぬ。元に戻せない。復元でも戻らない。消えたもの、戻らない。
だから……だから………」
リヴェリア「わかった(なでなで)
ならそれを伝えてから行ってくれ。
それならば私達もまだ納得できる」
ケイト「え?」
リヴェリア「意表を突かれた顔だな(くす)
その時間が、私達には必要だったんだ。
その時間があれば、帰りを待っていると伝えることもできる。心準備もできる。
いきなり『神の鏡』に映った姿を見た時は驚いたぞ。
そちらの状況も見ることが出来た。だから知っている。
お前が龍神と化したことも、圧倒的過ぎる力も、世界に働きかけるほどのそれに対抗しうることも。
それでも…予め知る時間をくれ。心の準備を与えてくれ」
ケイト「……わかった…ごめんなさい…」
フィン「まだ、自分というものがはっきりとは見えてないようだね。
境界線が少し曖昧になっている。
始祖神の記憶と一体になった反動かな?」
ケイト「…^^;
でも…これも含めて、私だから」
フィン「…割り切れるようになったのはいい。
自分もちゃんと守れたのは偉いし、進歩だとも思う。
だけれど…それとこれとは、話が別だ。
話されない側が、どう思うかについては最初に伝えたはずだ」←47~49,77,78ページ参照
ケイト「!…あ」
フィン「信頼しているのは、ちゃんと伝わっている。
けれど…『見送り』ぐらいはさせてくれ。頼むよ?」
こくこく!!
必死に頷いた私の頭を、フィンはそっと撫でた。
いつものように笑みを浮かべて、優し気な眼差しを帯びた状態で――