第32章 破滅の狼煙
精霊王の血…それは、澄み切った心を持つ者・抱くだろう者の子孫に発現する。
『浄化』の力の使い方…その制御も、今ではよくわかる。
始祖神の力もまた、『浄化』だから。
がっがっががががががががががが
無数のぶつかり合いの果て、その全てが拮抗し合っていた。
宙で光速を超えてぶつかり合う中、それは…底冷えさせる闇と、温もりを抱かせる光が炸裂する。
魔力の塊で圧縮して、力尽くで押し潰すんじゃない…
優しく包み入れて、その性質に寄り添って、祓うんだ。
始祖神の記憶のお陰で、この力の本当の使い方は理解でき、会得出来た。
私という人間の中にある記憶は…私、前世、前々世、そして――始祖神だ。
その全部で、私(ケイト)なんだ。
ディムナの時も含めて、彼(フィン)であるフィンと同様に。
だから…もう、恐れない。さらに、前へ――
ケイト「拮抗じゃダメだ。
圧倒できなければ、元には戻せない!)
かっ!!(魔法円展開)
クリエイト・合一魔法。
対象、龍化魔法・クリエイト――龍神化魔法」
龍化魔法とクリエイトを同時に発動しながら合一させ一つとなった魔法、龍神化魔法を発動させた。
始祖神の記憶と一体となる、二度目の感覚――
それでもなお…恐れていたほどではない。
起こるかもしれない記憶喪失への恐れが、起こり得ないと身を持ってわかると共に霧散する。
次の瞬間、光が今までになく圧倒的な規模を誇る。
それは紛れもなく――神界で神の誰もが目にしていた、ウレイオス(始祖神)の光だった。
その光は18階層のみに留まらず、バベルの塔まで達した。
始祖神の魂が無に帰し死ぬ中、転生された魂。
『魂は不滅』という理から長過ぎる生と過労により外れ、死した魂。
その魂の力を引き出した際における『記憶の譲渡』は…程なくして、入れ違いに生まれるであろう魂を愛いての行為だった。
当時の記憶と共に、はっきりと伝わってくる始祖神の意思…
その愛に…私は静かに、笑みを浮かべた。