第32章 破滅の狼煙
同様にバベルの塔から出ているそれもまた塞ぐ中、エイナさんに背を向けて「行ってきます」と伝えた。
エイナ「待って下さい!一人では危険d
ケイト「大丈夫だ」きっぱり
エイナ「!!」
ケイト「私がいる限り、死人は出させない。寿命によるものでない限りは^^」にこ
そう振り返りながら言ってから右手で拳を作り、親指を立てて真っ直ぐに出した。
ケイト「だから…信じて…待っててくれ。
フィン、皆…心配かけると思う。
けど、必ず…生きて、帰るから」
だんっ!!!
そう言い放つと共に、地面を蹴って階段を通り越し、迷宮の穴へと飛び込んでいった。
黒い狼煙が今もなお侵食しようとする最中、それ以上の魔力で覆って浄化と共に無力化。
迷宮の奥へ奥へと押し込んでいく。
光も、闇も…元々は一つだった。
始祖という名の神の存在…それは、たまたま最初に神として目覚めたからこそだ。
そして、その記憶は…果てがない。
魂としての記憶、それが大部分を占めている。
私という名の人格もまた…この世の経験を経て得たものに過ぎない。
環境が変われば、人は変わる。
怖かった。この力が…
たんっ!
迷宮へ力を埋め尽くしながら進んでいく。
地を蹴って途中から浮遊で飛び、一気に8階層まで通り過ぎていく。
強大過ぎるから、誰かを傷付けてしまいそうだから…それだけじゃない。
飲まれて、飲み込まれて…その当時の自分に、戻りたくはなかった。
フレイヤといた。神々といた…その世界が、自分の中の全てだった。
怖くて堪らなかったのは…自分自身だ。
記憶も、共に過ごした時間も…全て…
多過ぎる『始祖神としての記憶』に塗り潰されてしまいそうで…消えてしまいそうで……
それが…怖くて、仕方なかった。
力を使えば使うほど…始祖神としての自分に戻っていく。
皆とこの世で過ごしていた、あの時間が…あの日々が…安らぎが、染まって…消えていく。
ここで築き上げてきた想いまで…消えてしまう。