第32章 破滅の狼煙
マッピングを終えた夕暮れ時、60階層へと遠征隊を組んだ皆で共に足を進め、キャンプ地をそこへと移動させた。
安全は既に確認済み。そこで一夜を過ごす予定だ。
遠征隊の全員が修業合宿、強化ミノタウロスとの激戦によって2つ(レフィーヤは3つ)ランクアップしていたこともあり、大分と動きも捗っていた。
61階層へ出る道を確認後、偵察の為に100mほど進んだ矢先、階層主を倒した痕跡を見つけた。
ドロップアイテムと凄まじい量の灰だけが残されており、魔石はなかった。
フィン「!!…これは…」
ケイト「……この魔力の波長…多分…ブランシェだ。
魔石は魔力のもとに最適だから食べたんだろう…
って言うか…あいつ!わかっててドロップアイテム残してったな!!!?;
強化種が強化されないよう魔石を食うのはいいよ!?;
いいんだけどなんか先読みされてるみたいでなんかちょっと腹立つ!!;」
フィン「………」
リヴェリア「どうした?」
フィン「…いや…もし、仮にだが…
ブランシェがもし迷宮で倒され、怪物に食われて『穢れた精霊』になれば、これまでにない強敵になるだろうと…ふと思ってね」
リヴェリア「!!それは…縁起でもないな」
フィン「…ドン、一ついいかい?」
ドン「きゅ?」
フィン「…あのミノタウロスを見つける前、モンスターの残骸が周りにあった。
君はミノタウロスと会話をしていたようにも見えたけれど…
何故、君達はモンスターに襲われる?同じ仲間じゃないのか?」
ドン「きゅうう;」ふるふる
わからないというかのように涙を浮かべながら頭を振った後…筆談で教えてくれた。
出会ったあの頃よりも前、迷宮で生まれ落ちたばかりのドンはモンスターに襲われていた。
生まれ落ちた後、モンスターに遭遇した次の瞬間には襲われる。
同種かと思ったバグベアーもまた然り。話しかけても同じ結果だった。
モンスターというモンスター全てから囲まれ襲われていた矢先、自分に気付かないまま襲って来ていたモンスターをケイトは瞬殺し、倒していた。
襲って来ないモンスターには手をかけず、倒したモンスターの魔石をせっせと運んでいくのに対して、ここしかないと思って馬車に乗り込んだそうだ。←128ページ参照