第31章 穢れた精霊
ケイト(忘れられない。
痛みも辛さも…苦しみも……大事だからこそ、得たものだ。
それを押し殺すことはできても、消すことなんてできないんだ……
できるわけないんだ…この感情を無にすることなんて…
この想いを、無かったものにすることなんて……
できやしなきんだ…どれだけ忘れても、失うことに慣れるなんてことはっ!
この愛しい想いだけは……消えてくれないんだ。
だから…哀しくて…辛くて…憎くて、仕方ない。
怒りが増してしょうがない。
無理なんだ…この想いに折り合いをつけることなんて……
整理することなんて、哀しみに慣れることなんて!
だから……失いたくない!…繰り返したくない!!
耐えられない!…
馬鹿だよな…本当に……あんだけのことがあったのに…また、大切なものができた。
だから…もう、失わせない。
たとえ、何を犠牲にしたとしても…私は、絶対に失わせない!!
何があったとしても……二度と!繰り返させない!!
世界なんてどうでもいい。どうなったっていい。
お前達(ロキ・ファミリア)の方がよっぽど大事なんだ。
お前達を殺す世界なら、いっそ滅んだ方がいい。
もう…それぐらいの所まで来てしまった)
そういったケイトの抱く思念が頭の中に直接伝わってくる最中…
シートの上に座ったまま、吹き荒れる風に髪はたなびき
三人から抱き締められたまま、されるがままに身を預けていた。
その温もりにしがみ付き、縋り付き、身を埋めて寄り添っていた。
フィン「過去は確かに大事だ。自らという概念を形成する上ではね?
だが…生きている僕達は、前を向いて生きていかなければいけない。
無駄死ににさせるつもりも無いなら、見ていて不安にさせることは控えるべきだ。
何より…今も、天界から僕達を見ているんだろう?」
ケイト「…うん。ありがとう^^」
精霊王『よくやってくれた…これは軽い礼じゃ、受け取れ』
そんな声が十字架から聞こえた矢先、数多の木々から花が咲き乱れた。
晴れた天候に展開されたそれはまるで…極東で言う桜吹雪そのもので、絶句させられた。