第31章 穢れた精霊
ケイト「全員…死んでいった…
死んで欲しくない人ばかりが、全員…いつもっ;
私と関わった人ばかり、死んでいくっ;;」
滂沱の涙が止めどなく溢れては零れ落ちていく。
抱き締める力が、縋り付く力が増し、震えもまた…増していた。
失いたくないと何度焦がれてもなお、何度も何度も失い続けた。
だからこそ、殺すことを選んだ。自らの『感情』を、『心』を…
独りになることを選んだ。
それでも、また…大切な人ができてしまった。
だからこそ恐怖が、哀しみが、怯えが止まらない。
怖くて怖くて堪らない。あの生々しい哀しみがいつまでも消えない。
ケイト「あんなのは…もう、たくさんなんだ;;
あんな光景…耐えられないっ;;」
声まで震わせながら、涙ながらに身を僕へ埋めながらしゃっくりと共に言葉は紡がれる。
前に進む為に、ケイトに必要だったのは…
その哀しみを受け止めてくれる、誰かだった。
大切な、人だった。
フィン「それでも…どう言われたとしても…
生きている僕達は前に進まなければいけない。その人達がいない未来を」
ケイト「人はさ…独りじゃ生きていけないんだ。
独りのままじゃ、誰も…いない。
哀しみも怒りも、何もかもが…まるでないもののように扱われる。
誰か隣にいるかいないかじゃ…天と地ほど違うんだ。
あの時…誰も、居なかったっ;;
…殺すしか…無かったんだっ;;えっぐ」ぼろぼろ
切実なまでの想いが、そこにはあった。
その言葉を聞いて、「だからか」と皆思った。
ケイトには、誰も居なかった。
居れば、その矢先から失うばかりだった。何度も何度も…続いていた。
たった一人で…独りきりで、押し潰されるばかりだった――
だからこそ…「差別しないでくれてありがとう」「傍に居てくれてありがとう」「離れないでくれてありがとう」と、感謝の言葉が止むことはなかった。
それ所か、「大好き」とまで言ってくれた。
フィン「大丈夫だ…
僕がいる」ぎゅうっ
背に腕を回し、より強く自らへ引き寄せ、抱き締めた。
何度も何度も失った温もりがそこにあるように、感じさせたかった。
何より…安心させたかった。