第31章 穢れた精霊
姉『ありがとう』
必死に叫ぶ中、咽び泣く中、姉の幽霊が見えた。
姉『大好きだよ』
ケイト『こんな時に言うなよ!!』
一人きりのまま、姉の死体と一夜を過ごした。
返ってくる言葉もなく、朝までそれは続いた。
ケイト『(私が……私が…殺したんだ……)』
ふと、そんな思いだけが虚無となった自分の心に響いた。
その後にかけられた言葉はどれも…否定だけだった。
大剣は動いていない。そもそも抜けない。
それを姉が抜こうとしての事故だと公表された。
それでも何故死なないのかと気味悪がられた。
『化け物』
『人殺し』
『何で生きてるの?』
母『生まなきゃよかった』
父『この化け物め』
ケイト『……』すっ
目から光が消えたのは、心を閉ざしたのは…いけないことなのだろうか?
さらには学舎、学校という場所でいじめられ続けてきたのは…
いや…いずれにしろ、変わらないだろう。
『自分など…いない方がよかった』という考えだけは…
その後、何年先になったとしても消えはしなかった。
私がいなかったら…お姉ちゃんは、死ななかったのかな。
私が最初からいなければ…母親は…育ての家族は…皆は、今も生きていられたのかな?
笑って…毎日を平穏に、幸せに――過ごせていたんじゃ?
ケイト『うわあああああああああああああああああっ!!!;;』
悲痛な叫びと共に涙が次々に零れ落ちる。
それが要因で身体が壊れていくとは、当時の自分では思いもしなかった。
クリエイトは…膨大過ぎる魔力は…その願いを叶えようとして『しまって』いた。
他人には送りつけなければそこまで強くは働きが出ない。
しかし、自分の意思で『自らへ』望んだことならば大抵は叶ってしまう。
小人族でありながら人族並みに身長が伸びたことと同様に…
精霊王曰く、「自分で自分を殺しかねない。だからこそノアールをあてがったのだ」と。
精霊王の森でなければ、澄んだ空気ではない為、そのトラウマは幾度もそこ(外界)に居るだけで呼び起こされてしまうのだろうとのこと。
たとえそこでリハビリしたとしても、それに慣れなければ一生共に生きていくことは不可能。極めて難しいだろうとも常々言われていた。
思念伝達魔法が故か、強烈な思念が故か…それが伝わってか涙が伝搬していった。