第31章 穢れた精霊
ケイト『この十字架には心を浄化する作用もあるのかもしれない。
あの人達に染まらなかったのはきっと…護ろうとしてくれた、この十字架に宿る想いのお陰だよ』
フィン『くす)…ああ、そうだね』
違いないと、その言葉に頷いた。←527ページ参照
あの時には…既に感付いていたのかもしれないね。
フィン「しかし…腑に落ちないな」
顎に手を当てて考え込む中、それよりも前から未だ引っかかっていたあることが脳裏によぎっていた。
ティオネ「団長?」
フィン「リヴェリア、君も覚えているだろう?あのレヴィスの言葉を」
リヴェリア「ああ…確かにあれらの行動は不可解だったな。
狙いをケイトに絞り執拗に狙ったかと思えば
本人も知らない『アルルェーチェ』の末裔だと悟り、それがわかった後すぐ撤退を選んだ」
フィン「ああ…
レヴィス『居るのか…お前の中に大精霊が…
予定変更だ。狙いは…貴様(ケイト)だ』←508ページ参照
レヴィス『大精霊をその身に宿した体…そうか……
貴様、勇者アルルェーチェの末裔か…!
……撤退だ』←511ページ参照
何故…レヴィスはあの後、すぐに撤退を選んだ?
それに、大精霊が宿っているとは…ノアールのことではなかったのか?
一体…何を感付いた?」
ケイト「多分…その両方なんだと思う。
勇者アルルェーチェ…つまりヘレイオスは、精霊王の血を体内に輸血みたいに流し込まれた。
それは魔力を底上げさせられた。魔力の総合値が30万とか狂った数値の伸びの理由はそこだ。そして元々の魔力量も跳ね上げる」
ガレス「…分が悪過ぎると思ったのか?」
ケイト「多分(頷)
ノアールは精霊の中でも最上位精霊、大精霊になってから私に宿った。
精霊王というのも、大精霊の中の最強というもので神という領域に至ったわけではない。
でも…精霊王は2800年以上変わっていない」
『!!』
ケイト「代々私の一族に寄り添ってくれた。
ただの精霊寵愛による治癒だけじゃなく、二人の大精霊を感じた可能性が高い。
精霊王の一部であるこれを使えるのは、私の身体に流れる血のせいだ」
ロキ「なるほどなあ」
それらの言葉からロキは何かを察したようで、口端に笑みを浮かべた。