第31章 穢れた精霊
ケイト「この十字架が受け継がれた時点で、「精霊王の森の守り人」としての役割の移行を意味する。
見分け方は極めて単純。
出産の時に十字架が強く光を示し、太陽がいきなり現れたかのように輝くそうだ。
そして…選ばれし者は15になった時、十字架が受け継がれる。
後は知っての通り…直系の一族として扱われる」←552ページ参照
フィン「…何故15なんだい?君は確か10の時だったはずだが」
ケイト「あれは非常事態につき仕方ない。
15はこちらの世界で言うように成人を意味する。前世にいた極東でもそうだった」
フィン「なるほどね…大人として役目を全うしろということか…
で?守り人の地位から解放された大人は?」
ケイト「統治者として地を治める。町長として。
もし既にいたならその補佐をする」
フィン「そういう『習わし』、か」
ケイト「うん。2800年も受け継がれてきたみたいで…
考えると、少しぞっとする;
この十字架、2800年も経ってる感じがしないし;」
フィン「確かに…」
ケイト「十字架に選ばれし者は、生まれ落ちた瞬間から精霊王の森から精霊の森まで自由に出入りできるし、修業が好きに出来る。
以前に兵士に襲い掛かられるとかなんとか、修業とか…そういう風に映ったあれは…精霊王の森の守り人ならぬ守り動物だ」
フィン「そうか…通りで…兵と呼べる者達がいなかったわけだ(腕組)
「それまでにいたのか?」とも思ったが、実際には門番や警察という組織しかいなかったしね」
ケイト「…この精霊王の十字架は、私の血…中でも『浄化』の力と呼応し合う仕組みになっている。
でも、このように封印を解くこと自体に魔力が相当必要となる。
だから作られた当初から封印も解かれないまま、つまりは魔力を与えられないままだったこともあって、十字架が抱く魔力の結界自体弱まっていたらしい」←293ページ参照
ロキ「ほお。それでか…」
ケイト「このように解放した状態だと木々を操れる。たとえそこが、どこの森であっても…
だから…その……あの時…死に掛けて、眠り続けていた時に…夢で、思い出したんだ。
十字架の持つ魔力が体内に流れ込んできて(514,515ページ参照)、それがきっかけで…
……中々整理がつかなくって、信じることも難しくって…教えるのが遅くなってごめん」深々お辞儀