第31章 穢れた精霊
ケイト「木々よ、元の姿へと戻れ!」
その言葉と共に頂上までの橋となっていた木々は解け、元の状態へと戻った。
そうして頂上に着いた後、ちょうど太陽が地平線から出てきた。
その日の出を見入る中…促されるまま、ケイトは説明を始めた。
その前に一つ、問われることとなった。
ケイト「……ただの十字架が、自らの意思を持って、代々に渡って持ち主を選ぶことなんて出来ると思うか?」
フィン「…クリエイトなら何でもできるという認識で曇っていたせいで、言われるまで気付けなかった」
ケイト「うん…なら、今から教えるよ。
精霊王の子孫というそれも含めて。
こればっかりは…秘匿しておいて欲しい。誰にも話さないと誓ってくれ。
英雄譚にも載せるわけにはいかない。先祖代々に渡って、護られてきたものだ。
そして…子孫にまで迷惑をかけるわけにもいかない。
頼む」深々お辞儀
フィン「…わかった。
皆もいいね?」
その問いかけに皆は頷いた。
先程までの面白おかしく、楽しかった空気がどこかへ行ってしまったように感じるほど…
静寂が沁み入り、皆の聞く真剣な姿勢を感じさせられた。
ケイト「これは生きている。
精霊王の二本の骨を十字に組み合わせ、金の十字架としたものだ。
クリエイトで。
だから…英雄譚アルルェーチェにある伝承も、あながち間違いじゃない。
…わざわざ言うほどのことでもないと思って、あの時は言わなかった。
そして…精霊王の血も引き継いでいる。
当時精霊で神へ至った精霊神。それがヘレイオスと精霊寵愛した精霊だ」
レフィーヤ「精霊神!?」
リヴェリア「そんなものがいたのか!?」
ケイト「…うん。
精霊王の森でもさらに奥深くの神聖な土地に居る。
それによる精霊寵愛でも足りず、精霊王の血を傷口から与えられた」
『!!』
ケイト「らしい」
がくっ!!
ケイト「あくまで伝承だ。確証はない…
だが……先祖代々、十字架を引き継ぐ者へのみ口伝によって
「『一字一句』間違いなく伝えろ」と暗記させられたものだ。
それから…子孫の中でも、十字架に選ばれし者は
不思議と、魔力に『浄化』という性質が付くようになった」