第30章 ノアール
ケイト「……………」
フィン「何で君は眉間に皺を寄せながら考え込んでるんだい?」
ケイト「……」
フィン「怒られたのが気に食わないのならそう言えばいい」
ケイト「…いや…違う。違うんだ」ぎゅっ←左手でフィンの右手を握り締める
フィン「何が違うと言うんだい?」
ケイト「……ねえ、フィン…」
フィン「ん?」
ケイト「ああいう状況に、今後二度と陥らないわけじゃない。絶対に陥らないなんてことはない。
相手がブランシェだったから、旧友だったから振りで済んだだけだ。
もし…もしもだよ?
また、あんな風に…自分と世界を天秤に掛けられたら…私はどうすればいい?」顔顰め
フィン「ンー…そうだね…」考え中←顎に右手を当てて左手を右肘の上に乗せている
ケイト「私はね…自分一人を差し出すつもりだった…皆の方が大事だから。
でも、大切なものが増え過ぎた。
強大な敵で、私にはどうしようもなくって…
そんなことに陥った時…私は…一体、どうすればいい?」
だきっ!!
ティオナ「決まってるよ!皆で戦えばいい!!」←抱き着きながら叫ぶ
ケイト「え!?;でも巻き込むのって
ごぉん!!(ティオネから鉄拳が降りかかる)
ティオネ「あんたまだそんなこと言ってんの?」眉顰め
ケイト「え?;でも私は傷付く皆なんて見たくなんか
ティオネ「私だって同じよ!!!
あんたが傷付くのをよしとする馬鹿なんてここにはいないんだからね!?」
ケイト「え!?」
ティオネ「何がえ!?よ!
私はね、それで失いそうになった時に泣き叫ぶ団長見てんのよ!!
人をあんな風にさせといてあんたはそれで平気でいられるの!!?」
ケイト「絶対嫌だ!!」
ティオネ「なら!!…あなた一人が死ねばいいなんて考え、撤回しなさいよ」ぎゅうっ←抱き締める力を強める
ケイト「…っ;;(ぶわっ)
…馬鹿だよ…そんなの……そんなのってないよ。ずるいよっ;;」
ティオネ「何がずるいのよ」顔顰め
ケイト「だって…だって……今更、そんなのって;」
リヴェリア「今は違う。そう教えたはずだったが?」
その言葉にケイトは俯いた。
どうやら、返す言葉もないようだね。