第30章 ノアール
フィン「両親を目の前で失ってから、庇って死なれてから…
僕は、逃げた同胞を『絶望』と、両親を『希望』だと悟った。
だが、その時には遅過ぎた。
両親は死に、今更大切にしようと想っても蘇ることなどなかった。
無様な程に泣き叫んで、自身の全てを捨てた。
今思えば…あの時から、「僕の中の時間」は止まったままだった。
普通に生きることも、感情も、全てを捨ててでも両親に応えようとした。
パルゥムの希望となり、産まれてくる同胞に光を示したかった。
そうすることで…死んでいった両親に、応えたかった――
でも…僕は、君を求めた。
君と出会ってから…僕の日常は随分と変わったよ。
主観も、フィアナに対する考え方(182,183,195,196ページ参照)も…
何もかもが、今までに見たことがないものばかりで…君といる時間が、幸せで仕方なかった。
君と来たら予想外の連続で退屈しなかったからね^^//(ふふっ)
変われたのは僕達のお陰だと、君は言ったね?
なら…僕も、返させてくれ。
僕の中の「止まったままの時間」を動かしてくれて、「捨てた未来」を取り戻してくれて、ありがとう。
君との未来を、『希望』を抱かせてくれてありがとう。
あの時(720,721ページ参照)…あの日から、僕は…(ぽとっ)←涙が地面へと落ちる
パルゥムの未来と同じぐらい、いや…それ以上に、両親以上に…君のことが大切だと気付いた。
レヴィスの時は護れなかった。
それでもあの時再び誓った、君を護ると。共に生きると!死で分かたれる瞬間まで、決して離さないと!!」
ケイト「!!
…←何か言おうと口を開くが出ない
…っ;;馬鹿っ;;」←歯を食い縛り、涙が零れ落ちていく
フィン「君がいなければ…出会わなければ…こんな想いも、まだ知らずにいたままだった。
恋に落ちた相手が君で、本当によかった。
だから…頼むから……僕に、君のいない人生を歩ませないでくれ」
そう言葉を紡ぎながら振り返り、跪いたままのケイトをしっかりと両の腕で抱き締めた。
フィン「僕の『フィアナ』になってくれて、ありがとう」
最後に耳へ囁いてから、僕はブランシェへと向き直った。
ブランシェ「お別れは済んだ?
ねえ?頂戴?」
フィン「どうしても奪う気なら、僕を殺してからにしろ!!」睨視