第30章 ノアール
フィン「やはり…か。
聞いたことがある。
ブラックホールとは…たとえ対象が何であろうと吸い込み、食らい尽くすものだと」
リヴェリア「つまりは…力や物質を食らい尽くすことに特化した『魔法』という訳か」
フィン「ああ…確かにこれは、ケイトのクリエイトで無ければ対応ができない」
為す術がない…ケイトが勝てなければ、丸ごと全て吸い殺される。
まずいな…
戦意を喪失している者が多い。
最早言葉もなく、信じて見守るしかない。
しかし…龍人化を使ってもなお目の前で示された結果に
簡単に首を締め上げられているそのケイトの様子に…敗北を悟り掛けた。
ケイト「くっ!」ぶわっ
ブランシェ「龍!?」ばっ!←ケイトを手放し地面へと放り投げる
ケイト「ぁ…」かくっ
『!!』
頭から落ちていくケイトに、僕は駆け抜けた。
必死に駆けて、頭から地面へ当たりそうになる彼女の頭を抱き、引き寄せながら落下の衝撃を無にさせた。
フィン「ケイト!!」
そう呼びかける最中、周囲は負けじと加勢した。
しかし、魔剣も効かない。矢も効かない。
例の魔力を吸って解き放つ銃(879ページ参照)でさえも効かなかった。
リヴェリア「加勢するぞ!!」かっ!!(魔法円展開)
ブランシェ「無・駄♪」
魔力ごと力のもととなるそれを闇を拡げて喰らっていった。
魔法さえも全て、撃たれる前に魔力ごと逆に自らのものへと変えた。
『!!』
アイズ「!そんな…」
ベート「マジかよ」ごくっ
ブランシェの純白の髪が靡く。ケイトの黒髪もまた靡く。
勝ち目のない戦況に風がそよぎ、通り抜けて揺らしていく。
僕達の揺れる心とは裏腹に…ブランシェは静かに、余裕の笑みを浮かべて見下ろしていた。