第30章 ノアール
フィン「大丈夫か?」
アイズ「!…これはっ」
言葉を詰まらせるのも無理はない。
目の前の惨状は、半分が瓦礫の山と化していたそれだったのだから。
そうして外へと歩み出てくる邪悪な笑みを浮かべる女性に対面した瞬間
親指が狂いそうなほど、かつてないほどに引き攣り、強く疼いた。
各自応戦しようとした矢先、叫び声が響いた。
ケイト「私のクリエイトでなきゃダメだ!対抗できないんだよ!!
ブラックホールみたいに吸い込まれるんだ!!何も残らない!
私の結界でしか対抗できないんだ!!
足手纏いだ!!来るな!!!」
ブランシェ「ノアール!ノアール!!」ふふっ&恍惚笑み
ケイト「私は…ノアールじゃない。ケイトだ!!」
かっ!!
一部分を龍人化させる。それを認識した次の瞬間
がががががががががががが
凄まじい速度で目にも映らないほど激しく乱舞した。
身体を動かさないまま自在に動かし、方や縦横無尽に攻撃し続ける。
が、徐々に闇という名の穴が開いていき、文字通り『喰われていく』。
リヴェリア「曇り顔)今の状況は…極めて不利だ)
…押されている(ぽつり)
……勝てると思うか?」
ベート「はっ…あいつが負けるわけねえだろ」
くっ!!
がきぃ!!
ぱりん!!!!←ケイトの魔力による結界が破られる
ケイト「!!」
数秒の後、膠着は均衡を失った。
お腹の子を庇うかのように動きが鈍くなっていた。
ブランシェ「動き、鈍くなってるね?…
ああ、なんだ…(お腹に子が)いるんだね?」
ケイト「…ぅっ」
ケイトの首を締め上げる中、耳元で囁いた。
オラリオの空中、そこで宙ぶらりん状態になった。
ブランシェ「ねえ…約束したでしょう?ノアール…」
ケイト「約、束…一体、何の?
(はっ!)…(あれか」
ブランシェ「約束通り、あなたを食べさせて」
ガレス「いかん!!」
ぶおん!!!←大斧を空に居るブランシェへ向けて放る
ブランシェ「…邪魔よ」ばっ!
ばっくん!!
『!!!』
動物の口のように闇が形を変え、それを事も無げに食らった。
不壊属性のものでさえ受け付けず、それも含めた全てを無へと消えゆく様をまざまざと見せつけられる中、『絶望』が闇のように侵食してきた。