第30章 ノアール
4歳の時…
ケイト『ひっく…うっ;』
周りの大人は助けてくれない。
父親からの暴力からなど、助けようとする人など誰一人として…
その頃の私は、泣いてばかりいた。
家で泣けば殴られるから、どこにも居場所はないから…誰も来れない場所で泣いた。
そこでならと、いつも池のほとりにいた。そこで思う存分泣きじゃくっていた。
誰も受け止めてくれないから、助けてくれないから、そうする以外…何も手につかなかった。
いつものように池のほとりで泣きじゃくる中、声をかけてくれた子供がいた。
『ね、行こ』
ケイト『!…』
『ノアール!^^//』手を差し出す
ケイト『ごしごし)うん!^^//』頷
『あっはっはっはっ』『はっはっはっ』
笑い声をどちらともなく上げながら、私達は精霊の森を駆けた。
森の中にある小川の中を走った。水をかけ合った。
私の4歳の誕生日から、たった一週間…それが、彼女との共に過ごした時間。
『ノアール!』
ノアールでいい。助けたい。護りたい。
…助け出したい――
あの日、あの時…彼女との遊びが、唯一の心の拠り所だったから。
『どうしよう…飲まれる。両親でさえも、飲み殺しちゃうっ;;』
ケイト『大丈夫だよ。私が止めるから』
『本当?;ぐすっ』
ケイト『ああ!」
『ノアール…助けてっ』泣震
ケイト『当たり前だっ!!』
当時もまた、精霊はいた。
彼女は精霊の森を抜けて迷子になり、外を歩いていて行き倒れていた時
ある夫婦が助けてそのまま身柄を引き取り、両親として育ててくれたらしい。
だが、自分だけの力で護りたかった。
精霊導も精霊寵愛もないまま、私は戦った。
力に振り回されて暴走する彼女の持つ力に、クリエイトで封印魔法を用いた。
だから、両親をも取り込もうとしている暴走した力から助け出した。
全力でクリエイトを用いて、精霊としての力の暴走分のみを封じる結界を施した。
精霊ということがわかられない副次効果付きの。
アイズには見破られていたけれど…
そうして両親は革命反対派(551~554ページ参照)の為、彼女は連れられてヘレイオス街から去っていった。
『私の両親を助けてくれて、護ってくれて、ありがとう』
その言葉を最後に、10年ほど会っていない。