第30章 ノアール
それらの想いを拙く、しゃっくりでつっかえながらも伝えた…
言ってくれないとわからないって、前にケイトが言っていたから。
ケイトは黙って相槌を打ちながら頭を撫でて聞いてくれた。
最後まで言い切った頃には涙も止まっていた。
ケイトは私の中で『特別な存在』なのだと…今更ながらに深く実感した。
私の生き方は…ケイトと出会う前とでは、確実に違っていたから。
ケイト「あの…アイズ、ありがとう。私も…アイズのことが大好きだよ。
そもそも差別しないでいてくれたヒューマンなんて、ロキ・ファミリアが初めてだし。
だから…嫌われる?っていうのはまずない。それだけはわかってて欲しい」
アイズ「……本当?」
ケイト「当ったり前だ!!記憶喪失に陥ったって嫌わない自信あるぞ!」えっへん
アイズ「……」ぽろっ
ケイト「え?;」汗
アイズ「……よかった;…本当に…よかった;;」ふるふる
今度は嬉しさで涙が止まらなくなった。
おかしい。
あの全てを失った時から、涙は涸れ果てていたはずだったのに…
そのはずなのに、今度は次々に溢れて止まらなかった。
哀しさの次は嬉しさで、縋るように泣いていたのが今度は擦りつくように変わっていった。
それから数分間…また、ケイトは辛抱強く付き合ってくれた。
でも…その時には、また別の意味で。
教えてもらったのは……
ケイト「その…ただ、恥ずかしかっただけなんだ…//
鼻歌みたいな軽いノリで生み出した技を目の前で真似されたから//;」ごにょごにょ
頬を掻きながら気まずそうに言われる中、最後にロキがにやにやしていたのを思い出して…
知っていてワザと違う情報を教えたことが、否が応でもわかった。
ロキ……(激怒)←憤怒の表情になっている
ケイト「そ、その…あんまり、怒らないであげてね?;」
アイズ「無理!!」きっぱり