第6章 本編の章 鹿島神社陥つ
美琴は、部屋の中で一人呟いた。
小牧神社では、美琴が一人で居るだけだ。
「そういえば、渡辺さんの撮影会は明後日だったわね。」
美琴は呟き自分が登場するシーンのセリフが掻かれた台本を
一人静かに目を通していた。
映画の設定では美琴は、主演を務める渡辺美玖の母を闇討ちしては暗殺をした悪人巫女として参加しており、最後は美玖に斬り殺されてしまうという設定になっているのだ。
美琴の登場時間は、せいぜい数分位であり殆ど登場しないのだ。
美琴は、自分セリフを何度も呟き返した。
「9時か・・・。」
美琴は、壁に掛けられている時計を見て呟いた。
「さてと、門を閉めに行かなくちゃ。」
美琴は呟き社務室を出ては、小牧神社の門を閉め始めた。
「小牧さん、こんばんは。」
サングラを掛けた少女が美琴に声を掛けてきた。
「わ、渡辺・・さん。」
美琴が呟いた。
美琴に声を掛けた少女は渡辺美玖だった。
「ど、どうして、こんな夜に?」
美琴が美玖に尋ねた。
「うん、少し小牧さんにお話があってね。」
俯きながら、美玖が呟いた。
「ここでは、なんだから社務室でお話しましょ。」
美琴は呟き、美玖を小牧神社の中へ招き入れた。
「こんな夜に、出歩いたら報道陣の餌食になるわよ。」
美琴が美玖に向かって呟いた。
「それは、わかってるけど・・」
美玖が俯きながら呟いた。
「一体、どうしたの?」
美琴が美玖に尋ねた。
「うん、実は私の專続マネージャーの赤西さんの様子が日々おかしくなって、まるで別人のように見えてきたんだ。」
美琴の問いかけに美玖が俯きながら答えた。
「別人って、まるで心変わりをしたみたいね。」
美琴が呟いた。
「うん、まるで何かに取り憑かれたみたいで、夜になると事務所内で悲鳴が聞こえたりするから、事務所内では何かが起きているとしか思えなくなって来てこれはもう普通ではないと次第に思えるようになって来たんだけれどどうしてな?」
美玖が呟いた。
「マネージャーの事は、分からないけれど渡辺さんの場合は渡辺さんの体の中で眠っている力が少しずつだけど目覚めようとしているからよ。」
美玖の問いかけに美琴が答えた。
「私の力?」
きょとんとした顔で美玖が呟いた。
「うん、渡辺さんはまだ気付いてはないけれど渡辺さんの体には私達と同じ力が寝むってるのよ。」
美琴が呟いた。
