【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第2章 【一月三十日 辰二つ】〜三成くんの御殿に向かえ!〜
今日の主役様は兄貴分の精一杯の饗しに、どうにも素直になれないらしい。
むすり、と顔はいつもの様に無愛想だけれど、ほんの少し楽しい雰囲気を纏っているのを、私は知っている。
「なんて言っちゃってー!内心割と、楽しんでた癖にっ」
それにも関わらず可愛げの無いことを言い出すから、軽く茶化してみると。
ちらり、と容赦なく、氷よりも冷たい視線を返された。
私は少し肩を竦め、また黙って真面目に歩く事にする。
「しっかしやっぱりさむいね、いえやす」
「…寒いのは認める、けど。
いつもながら、なんで千花はそんなに薄着なの」
「『指令』が機動力重視な内容だと困るじゃない?動きやすい方がいいかなーって」
「…本当に、あんたも今回の内容は知らされてないって事がよく分かったよ」
寒さ厳しい一月の末。
昼一番の頃とはいえ、吐く息は白く煙る。
見上げた高い空は低い気温に澄み切って、吸い込まれてしまいそうなほど青い。
それでも、きっと彼が産まれた日もこんな風に寒かったんだろうな、と思うと妙に感慨深くて…
隣で歩く家康をそっと、盗み見る。
いつも変わらず真っ直ぐな目線は、その行く先をしっかりと捉えている。