【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第8章 【エピローグ】夢の後と夢の続き
ぽとん、とワームホールの気紛れで落とされた先――
ほの暗く、埃っぽい雰囲気に目を凝らす。
誰も一緒に落ちてきた気配は無かったな、と寂しく思いながら、ぐるり、と辺りを見渡す…
「初めまして、さく様」
「さくちかさん、ようこそ…戦国の世へ」
佐助くんの声に加えて、聞き間違いようのない、男性にしては高めの優しい声に。
思わずぎぎ、と音の鳴りそうな、不自然な動きで振り返る。
「は、はぁっ…!!!!?」
「ようこそ、私の書庫へいらして下さいました」
埃っぽいのは、本のせい。
ほの暗いのは、戦国時代だから。
漸く整理できてきた頭、しかし目の前にいた彼――案の定、三成くん。
その美しさに度肝を抜かれて動きが止まる。
流石イケシリ界一のイケメン、なんて思っていると、彼が形の良い眉を少し顰める…
「ところで、さく様。私はあんな大事な場面でお茶を零したりは致しませんよ」
「は、あ…ご、ごめんなさいっ…」
ほんとはケーキを持ったままコケる予定だったのを修正した、とは言い出せず。
ひとまず謝ると、彼はまたにっこりと笑う。
――い、今の顔を写メにっ…!!
三成くんフリークの友達に送ってあげなきゃ、とポケットをま探る。
しかし、入れていた筈のスマホはそこにはない。
「さくちかさん、此処は夢の世界」
佐助くんの諌めるような言葉に、はっと顔を上げる。
「君は君であって、でも君じゃない――そんな世界だ。どうぞ、楽しんでくれ」
そうだ、忙しい時も、悲しい時も、寂しい時も。
皆の書いてくれる素敵な夢に、そして自分のアタマを駆け巡るしがない妄想に、どれだけ支えられて来ただろう。
「さく様、あの方がお待ちです。さあ、お立ちになって下さい」