【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第8章 【エピローグ】夢の後と夢の続き
町屋と、お洒落な隠れ家的店舗が立ち並ぶ三条通を東へ進み。
ほんの少し裏路地を入った、これまた隠れ家的なカフェへと、佐助くんは私達をいざなった。
予約してくれていたらしく、奥の個室へと通され。
暖かい部屋の空気に、心も身体も溶かされていくような心地。
ふかふかのソファーに沈み込むように腰掛けると、私達はそれぞれ自作品の制作裏話を暴露し合う。
「家康に、生まれてきてくれてありがとうって、千花姫の口から言わせたかったんです…ちょっと暗い雰囲気になったけど、やからこそ次の日の朝が幸せいっぱいに見えるんかなー、と、ね」
そして更に、私たちを驚かせるものが運ばれてくる――
「こ、これは…っ」
「政宗が作ってくれたバースデーケーキっ…!」
「しかも五通り!?」
「すごいすごーい!ちぃちゃんのケーキ、苺の薔薇が乗ってるよぉ♡」
「…私のケーキ、でかいな!?」
私の作中に出てきた、急拵えの二段ケーキ。
店員さんがフォーク…ではなく、ここはスプーン、を配ってくれる。
赤いリボンを纏ったスプーン、佐助くんの粋な計らいに感謝しつつ。
めいめい、お目当てのケーキを口いっぱいに頬張った――
「ん、む…!?」
「わ、ワームホールっ…!!?」
屋内なのに、何故か出現するワームホール。
黒く渦巻く禍々しい姿に、一先ず口の中の物を必死で飲み込む。
「あ…料理なんかも頼んであったんですけど、残念ですね」
ふわり、と浮遊感。
隣にいた琥珀ちゃんに手を伸ばしてみたけれど、靄に包まれ見えなくなる。
「ワームホールの出現は、俺でも未だに把握出来ていませんから――」
「…そんなっ!
もっとお話したかったのにーーーーっ!!」