【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第7章 【一月三十一日 夜半】~祭りの後~
じっと見上げてくる目線を合わせるように、家康がしゃがみ込む。
すると千花は、身体の前でぎゅっと重ねて握った布団の端を、更に指先が白くなるほど力を込めて握りこんだ。
そして、ほんの小さく、息を吸って――
「だからね、私は、家康に全部をあげたい」
その言葉を一息で、思い切り早口で発した千花は、そこで初めて顔を隠すように俯いた。
耳朶まで真っ赤に染まっていることに、家康はそこで漸く気付き――そして言葉の意味を反芻して、同じように顔を真っ赤に染めた。
「この世で私の持ち物は、この身一つだから…皆みたいに立派なプレゼントを用意したいと思ったけど、何も考えつけなくて」
ぽつぽつと、零れる様な言葉が、家康の耳へと流れ込む。
じわりとそこから溶けてしまいそうな、熱量を持って。
「もっと頑張って此処での暮らしにも慣れて、お金を稼いだり出来る様になったら、来年の誕生日とかには…
何かちゃんとした物をきっと贈るから、一先ず今年はこんな感じでどうに、か、」
言葉の途中で、千花が声を詰まらせた。
きつく身に回された腕に絡めとられ、息をするのも覚束ない。
胸元に押しつけられた顔を捩じって、何とか家康の顔を見上げようとするけれど。
肩口に埋められた家康の表情は伺えない。
「あの、いえやす、」
「…それより良いぷれぜんとなんて、きっとこの先、無いよ」
「…そうなの?それは光栄だぁ」
ふふ、と笑う千花が、家康の胸に頬を摺り寄せる。
そんな幼子のような動きにすら、家康の心は甘く焦がされ。
降って湧いたような情欲にじり、と火が付くのを感じ、目を閉じる――