【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第7章 【一月三十一日 夜半】~祭りの後~
「元の世は確かに便利で、暖かくて、楽しい。それは間違いないよ」
家康は、千花の言葉を邪魔しないように、口を噤んだまま。
いつもより抑えられた声を全て拾うために、また一歩、前へと進む。
「こっちにはテレビは無いしスマホは無いし、こっちに来る前に見かけのドラマが気になりすぎてたまらない!もうね、それだけが悔いだと言っても過言じゃない!」
時折知らない単語が混じる、けれど。
千花の気持ちの本質はちゃんと伝わってくるから、家康はやはり言葉を挟まずにいる。
「でも、元の世には…家康がいないんだよね、もうそれだけで、ダメなの。
家康がいて、あと出来れば信長さまや秀吉さん、光秀さん、政宗、三成くん…それに、佐助君も。お世話になった皆がいないと、もう私の人生に味気が無いの」
そこで漸く、千花は安心したように、笑いながら。
家康は、改めて気付いた自分の気持ちの底知れなさに、思わず身震いしながら。
それぞれ違う反応ではあるけれど、心の距離を埋めるように、家康がまた一歩前へと進む。
そして千花が座り込む布団に足をかける、直前で止まった。