【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第7章 【一月三十一日 夜半】~祭りの後~
「…ところでさ、この恰好。何なの」
家康は、薄く目を開き。
この部屋に入ってからというもの、ずっと気になっていたことを漸く口にした。
目の前のもこもこの物体をさわり、と撫でてみる。
ふかふかと分厚い冬布団が、その下にあると思しき身体の線を見事なまでに覆い隠している。
「…あ、これ、ですか?これはもう…寒さ対策の一環というか」
「全部をくれるって言うなら、邪魔なんだけど」
「…あー、そうかも、ね」
また顔を真っ赤に染め直した千花に少し気を良くしながら、家康が布団の重なる部分に手をかける。
千花は、思わずぐっと手に力を込めてしまう。
「…何。くれるんじゃないの」
「差し上げたい気持ちは山々なんだけど、こんな良いムードにそぐわないんじゃないかと、今更ながら…!」
「むーど?」
「雰囲気、みたいな意味…かな?とにかくちょっと待って、ほんとに待って!さり気なく力を強めないで!」
家康がその言葉に渋々手を離すと、千花は赤らんだ頬のまま、ふう、と息を整えるように幾度か深呼吸をして。
「お気に召すかは、存じ上げないのですけど」
「うん」
「あの、プレゼントのひとつと言いますか」
「うん…何?」
家康の興味津々な視線に耐えかねるように、千花がぎゅっと目をきつく閉じると。
まるで覚悟を決めた様に、布団をきつく握っていた手をぱっ、と開く。
しばしの沈黙の、あと。
千花が耐えかねるように、口を開いた。
「…あの、いえやす、何か言って…」
「っは、あ?千花、何、これ…どうしたの」