【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第6章 【一月三十一日 夜】~御祭騒ぎ~
身も蓋も無い、ただ間違ってはいない説明に吹き出しつつ。
政宗が渡してくれる、薄刃包丁を受け取る。
佐助君が照れる家康を促して、柄を持つ手を重ね合う。
家康は私の顔を見ると、ふ、と。
観念したかのように、柔らかい笑みを浮かべた。
すっと、柔らかな生地に刃が沈みこんでいく――
そこで政宗に包丁を返すと、流石の手裁きでささっと切り分けられ。
その内の1ピースが、私達の前に置かれる。
「…家康、食べさせてくれる?」
家康は何も言わず、箱からスプーンを取り上げると。
ゆっくりと、厳かにも見える手つきで小さく切り分けた欠片を、私の口元へと運ぶ。
「…どうぞ、千花」
脇髪を耳にかけ、口を開ける。
ふわり、と、舌の上に落ちてくるそれを味わう…
「ふわふわ、あまー…!!」
自分たちで作ったとは思えない出来に、思わず頬が弛む。
早く家康にも食べさせてあげたい、とスプーンを受け取ろうとした、その時。
「待ってくれ、千花さん」
珍しくにやりと笑った佐助君が、スプーンの箱の底をごそり、と開けた。
やたらと深い箱だな、と思っていたそれは、実は二重になっていて。
スプーンだけを入れる割にやたら大きい箱だな、と思っていたのが…
「…ちょっと、何それ」
家康が思い切り顔を顰めるのも、無理はない。
私に食べさせたそれの五倍はすくえそうな、特大のスプーンが姿を見せる。