【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第6章 【一月三十一日 夜】~御祭騒ぎ~
もう真上までのぼってきた月を横目で仰ぎ見ながら、辿り着いた厨へと入り。
人数分の小皿と楊枝、湯呑を盆にセットして…
「そうだった、千花!もう一つ、けーき、とやらを作ってみたんだが」
「わ、政宗一人で…?すごいね、ふっかふかー!私と作ったのより大きく膨らんでるっ」
「牛乳も卵も、お前達、持ってきすぎだ。少し残ってたから、見様見真似でな」
政宗が作ったというスポンジケーキは、私たちが元の世で仕上げてきたバースデーケーキより一回り大きく、ふんわりと膨れている。
政宗のアレンジで焦がした糖蜜がかけられているようで、てらてらと光る表面が食欲をそそる。
それをじっと見ていた佐助君が、ぽん、と何か思い付いたように手を叩いた。
「…佐助君?」
「ん、なんだ?何か面白い事を思い付いた顔じゃねぇか」
「…そうですね、政宗様。千花さん、ケーキは俺と政宗様、二人が持っていこう」
「え…?ん、わかった…お願い、します」
何を企んでいるのやら、と不安になりつつも。
自信ありげに眼鏡を煌めかせた佐助君に期待を膨らませ、私は厨を後にした。
結局一人、広間に戻って来ると。
すっかり出来上がった様子の皆が、家康を取り囲みわいわいと何かをしている。
「あぁ、千花。戻ったのか」
「秀吉さん、皆で何してるの?」
「今、家康に俺達がそれぞれ用意したぷれぜんと、を渡していた所だ」
その言葉に床を見ると。
立派な漆塗りの、薬箱に…ガラス瓶に入った虹色の飴玉?が、家康の座っていたあたりに置かれている。
やたらと豪奢な紋付袴が奥に掛かっているのは、誰からの贈り物か大体分かるとして――
「…で、今の騒ぎは?」
「あぁ…三成からのぷれぜんと、でな?家康との丁々発止のやり取りがされてるんだ。彼奴等は本当に…仲がいいやら悪いやら」