【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第6章 【一月三十一日 夜】~御祭騒ぎ~
「政宗の言う通り、随分とめかし込みおって。
今宵はまごう事なき姫の装いだな、千花」
「ふふ、今夜くらいは、です。お待たせしました、信長様」
家康が山吹色の小袖を纏って来るだろうと踏んでいた私は、合わせるように薄紅色の、小花柄の衣を選んだ。
少し早い春を思わせるような、優しい色を添えたいと思ったから。
その目論見は成功らしく、どうしても寒色の多くなるこの時期に、私たち二人だけが明るく華やいで見えるようで小さく笑う。
そして、いつもは引かない紅を引いた唇が慣れず。
触ろうとしてしまう指を、また意識してひっこめた。
「全くだ、大層待ったぞ…
さて、家康。貴様の宴だ、何か言う事はあるか」
家康がほんの少しの逡巡の後、私の方をちらり、と見て。
そしてゆっくりと立ち上がった。
「…こういう場で話すのは慣れていないから、一言だけ。
皆、有難うございます」
本当に一言だけ、そう言うと家康は深々と頭を下げた。
珍しく何の捻くれも無い態度に、私をはじめ、皆が固唾を呑んでその様子を見守っている。
水を打った静けさの中、家康がゆっくりと顔を上げる。
ほんの少しだけど、緩んだ口元に、本当に喜んでくれいているらしい、と伝わってきて――