【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第3章 【一月三十日 巳の刻】〜三成くんの指令〜
そしてそこに、ご主人と連れ立って出てきた先程の男性。
改めて聞いてみると、息子さんらしい。
彼が手に持っていた麻袋を、家康が受け取った。
「今まで沢山卵を産んでくれとった、良い鶏じゃ。美味いに違いありませんなぁ」
「そうですね、おじいさん。鶏さん、美味しく頂きますね…
きっとこの子のお陰で、豪華で盛大な宴になります!」
まだほのかに温もりの残る、麻袋に触れてみた。
きっとじきに、冬の寒さに冷えていくのだろう――
片方の手でその袋を抱えなおした家康が、空いた手でそっと肩を抱いてくれる。
切なくて、でもそれと引き換えに全てのものが愛しく感じられて、じんわりと涙が滲む。
耳が遠い、と言っていたのに。
おじいさんと息子さんはそっくりな顔で、何とも嬉しそうに笑ってくれた。