【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第3章 【一月三十日 巳の刻】〜三成くんの指令〜
彼の言葉に、はっと息を呑む。
酷い、今日だって頑張って卵を産んでくれたのに…
そんな風に考える私の耳に、思いもよらない言葉が続けて飛び込んできた。
「…そう…なら、俺達が買おう。締めておいて」
「家康っ…!?」
驚いてぎょっと目を剥く私を他所に。
家康は、雌鳥さんを背後からいとも容易く抱えると、男性に引き渡した。
男性は承知しました、と。
売れた嬉しさからか、機嫌よく家康から鶏さんを受け取ると、裏へと運んで行く。
「な、なんでっ…家康っ!」
「なんで、って…よもや、あんたに傷をつけたから、なんて私怨じゃ無いのは勿論だけど。肉を使った献立があれば宴は華やかになるし…
こんなに新鮮なものを手に入れられる事もそうそうないから、政宗さんだって喜ぶだろうし。これも何かの縁だと思っての事、だけど」
家康が、全てを見透かしているような目で、こちらを見て。
そしてまるで宥めるような、慰めるような口調で付け加えた。
「千花。
今、抱えてるその卵だって、あの鶏と同じ生命でしょ」
「そ、れはっ…そうだけどっ、」
確かに、姿かたちは違うけれど、どちらも生命であることには変わりない…
そこを突かれ、言葉に詰まってしまって。
何も言えなくなる私の頭を、家康はまるで幼子にする様に、あやす様に、諭す様に優しく撫ぜる。
「…あんたが戸惑うのも、分からなくもない…けど。俺がその昔、この世に生まれ落ちて、これまで生きてこれたのは…
こうして大なり小なりの生命を、奪ってきたからだよ。
…千花だって、そうなんじゃないの」