【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第3章 【一月三十日 巳の刻】〜三成くんの指令〜
最後にぼそり、と付け加えられた嫌味は残念ながら本人には届かなかったらしく。
三成くんはキラキラとした、尊敬に満ちた瞳で家康を見つめている。
私はと言うと、自力での卵集めは諦め。
持っていた手拭いで採った卵を集める、サポート業務に徹することにした。
「ふぅ、結構集まった…」
家康が、今日の主役様にも関わらず。
ぽいぽいと容易く卵を見つけては、渡してくれる。
現時点で、ざっと数えて10個ほど…どんな大きさのケーキかは知らないけれど、きっと余裕で事足りる。
足りないよりいいよね、だってほら、大は小を兼ねるって言うし――
「千花、ほら。取ってみたら」
家康に声をかけられ、そちらを見てみると。
持ち上げてくれている羽根の下、真っ白な卵がひとつ――そっと近付き、手に取ってみる。
「わ、ほっかほか…!」
「うん。この寒い中、頑張って温めたんだね」
家康の優しい言葉に、取っちゃってごめんね、という気持ちと。
頑張って美味しいケーキにして、家康のお祝いに役立てるね、なんて感謝の気持ちが湧いてきて。
ふと、鶏さんの真っ白な羽根に手を伸ばす――