【イケメン戦国】プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭②~
第3章 【一月三十日 巳の刻】〜三成くんの指令〜
「家康様、千花様、申し訳ありません。卵のご用意をお願いしていたのですが…
どうやら我々自身が、取りに行く必要があるようです」
「えーっと。この中、へ?」
暫くしてご主人との話が終わったらしく、こちらに戻ってきた三成くんは。
その様です、と…悪びれもせず、いつものきらきらと輝く笑顔で言った。
毒気を抜かれ、また鶏舎に目をやる。
ばさばさと、鶏さんたちの翼のはためきに合わせ、抜け落ちたらしい羽がふわふわと。
まるで夢の中の光景の様に舞うけれど…家康にとっては悪夢以外の何でも無いらしく、今日一番の大きなため息をついている。
「千花…けーき、とやらの材料には卵はいるの」
「いる、ね」
「絶対いるの」
「割と重要…無くても作れるのかも知れないけど、出来には格段の差があるよね」
私の言葉に、家康が抵抗を諦めたのか。
気合を入れるようにささっと袖を捲りあげた。
私もそれに倣い、持っていた襷で袖を上げる――
「よーし、卵探しやるぞ…おーっ!」
私の上げた鬨の声に呼応する様に、また一斉に鶏さんたちが威嚇の鳴き声を上げる。
びくびくしながら、囲いの端を開け…鶏さんたちの群れの中へ、いざ!と。
気合だけは十分に、私達は足を踏み入れた。