第5章 藻裾の先行き
「アンタがジャン・レノでサスケがナタリー・ポートマンだってのはわかってんですか?」
「え!?」
「えって何だ、えって。図々しい。結局ひとりで死んでっちゃうんスよ、アンタは。寂しいなぁ」
「あら、レオンなら死ぬときはゲイリーと一緒じゃない?」
「あー、じゃあジャン・レノとゲイリー・オールドマンの一人二役だな」
「………何で飽くまで二役なのよ」
「経費削減」
「ハリウッドも経済難なのねぇ…て、何の話よ!馬鹿な話させないで!アタシは馬鹿は嫌いなの!」
「ダメですよ、そんなこと言っちゃ。先ず自分を愛してやんねぇと」
「何の話よ。アタシが馬鹿だっての?」
「自分を愛してあげなさいって話ですよ。説法じみてにきたな」
「何でそんな話になったのよ」
「いやー、だってアンタが馬鹿は嫌いだってぇから……」
「やっぱりアタシが馬鹿だって話じゃない!?」
「ンなこたひとッ言も言ってねぇじゃん」
藻裾はあははと笑って、腰に手をあてた。
「さぁて。忙しくなってきたな。アタシもそろそろ動かねぇとね。体がなまっちまう」
「サスケくんのことはもういいの?知りたいことがあったんでしょ?」
大蛇丸が意味深に言う。藻裾は首を捻って、それに答えた。
「それがさっぱりわかんねぇ。だからもうちょっと話してみてぇんだけど、なかなか相手にして貰えねぇんスよね。磯のモンは好かねぇって、牡蠣殻さんてばもしかして何かやらかしました?」
「やらかしてるのは牡蠣殻だけじゃないと思うのよ」
「じゃ海士仁の馬鹿か?」
「あれも大概だけど、アンタひとりでも十分磯は沢山だって思う理由にはなるんじゃないかしらねぇ」
「アタシャ何にもやらかしちゃいねぇのに」
「今が今散々暴言を吐いといてそう思えるのが凄いと思うのよ…」
「凄い?いやぁ……」
「照れてんじゃないわよ。誉めてないんだから」
「またまた」
「またまたじゃないわよ。ホントに磯の連中は話し辛いったら…。波破ときたら後進にどういう教育をしたんだか…」
「先代は勉強嫌いって話だったけど、人にものを教えんのは上手かったですよ?魚釣りとか虫捕りとか摘み草とか…」
「遊んでばっかじゃない」
「いい里長でしょ?アタシは好きだったな」