第9章 年始ー長丁場ー
「面倒面倒うるさいわよ!面倒くさい国の世話がやならのべつまくなく何でもかんでも面倒くさがって皆を面白がらせるんじゃない!無精すんな!コマメの国のコマメな王様になれ!」
「どっちみち王様になんなきゃなんねぇのか?地獄だな。そもそも俺はコマメになる気なんか全くねえんだよ。面倒く…」
「ほら出た。クーデターと火事には気を付けろ」
「クーデターっておめぇ…。面倒くせぇ国なんか面倒くさくって誰も襲やしねぇだろ」
「へーえ。で、火事が起こっても面倒くさがって消火もしないんでしょ。引っ越すのも立て直すのも面倒くせぇから全焼した国にそのまま住むと。バッカじゃないの?アンタがメンドくさがってるとこ見てると、三年寝太郎が働き者に見えてくるわ」
「あのなあ。寝太郎は起き出してからはバリバリの働き者なんだぞ?風評被害だ。適当なこと言ってんじゃねえ。失礼だぞ」
「ああそう。じゃ謝っといてよ、寝太郎さんに。アタシだって別に寝太郎さんに恨みや含みがあるわけじゃないし?文句があるのはアンタにだ!アンタの面倒くせぇのお陰で一緒にいるアタシやチョウジまでネタになったりしたらどうしてくれんのよ!?」
「ネタにされるようなことする予定でもあんのかよ」
「そんなモンあるか!アンタじゃあるまいし!」
「じゃあいいだろ、別に」
「よくない!アタシとチョウジがよくない!」
「見栄っ張りのおめぇは兎も角チョウジはそういうの気にしねえよ。アイツはそんなヤツじゃねえ」
「見栄っ張りで悪い!?そんなヤツって何よ!アタシはそんなヤツだっての!?何さ!人にぶうぶう言ってる暇があったらその無精ったらしい口癖を直したらどうよ!このウマシカマル!」
「…ウマシカマルっておめぇ。それ漢字変換したら…」
「馬鹿丸ですが何か?」
「コノヤロウ…」
幼馴染同士の遣り取りに取り残された格好になったテマリとカンクロウが目を見かわす。
面白くねえんじゃねえの?
用心深くテマリの様子を伺ったカンクロウは、不意に腰に手を当てて上体を反らしたテマリに思わず身構えた。八つ当たりが飛んでくるかと思ったのだ。が、予想に反してテマリはふっと息を吐いて笑った。
「幼馴染みというのは他愛ないものだな」
「…あー…、そう?」
「…何だ、その顔は?」
「何って…まあ、お前の兄ちゃんの顔じゃん?」