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連れ立って歩く 其の五 木の葉編 ー干柿鬼鮫ー

第2章 砂



「杏可也」

丈高い男が竜胆色の上着を引いて呟く。

「それに長老連」

「…荒浜。テマリはどうした。一緒に居ろと言っただろう」

我愛羅がスッと目を細めて男を見返った。

「知らん」

隠居部屋を興味深げに眺め渡しながら、荒浜海士仁がさらりと答える。

「出ていった」

「出ていった?何故?」

我愛羅の問いに煩わし気に首を撫でる。

「怒った」

「怒らせたのか」

「是」

「何を言った」

「知らん」

「何を言った?」

「知らん」

「何を…」

「止ーめ止め止め、止めろ二人とも。切りねぇぞ」

カンクロウが我愛羅と海士仁の間に割って入った。

「聞いてる方が気が遠くなる。止しなさいって」

「何を…」

「だーかーらー、我愛羅!止めろっての!」

「知ら…」

「アーンーターも黙れ!ユラユラ体言止めで話しやがって、カオナシか。ジブリは間に合ってっぞ。俺はピクサー派だ」

「…ナイトメアビフォア?」

「お、いいとこ突いて来やがるな!けどジャックはディズニーピクチャーズじゃん?ピクサーならバグズ・ライフのスリムかレミーのリングイニじゃん?アンタは。ひょろひょろ系な」

「リングイニは好かん」

「あ、そう?いいじゃん、リングイニ。俺は好きだけどな」

「…ランドールがいい…」

「…アンタ変わってんな…いや、俺もランドール嫌いじゃねえけれども」

「ドリーでもいい」

「ファインディング・ニモ!?あのドリー!?アンタの自己評価どうなってんだ。面白いな、おい」

「…俺はポテトヘッドかウォーターヌースで頼む」

「オメーにゃ聞いてねぇぞ、我愛羅。いや、面白いけれども。似たモン同士じゃん、オメーら二人?」

「そうでもない」

「どうでもいい」

「…言っとくけどな。こっちこそそんなのどうでもいんだぞ、ホントは。敢えて気を遣って取り持とうとしてんだ。察しろ。そんで汲め。で?杏可也おばさんと年寄り連中が何だってんだ?早く話してテマリに謝りに行けじゃん。後でこっちが当たられたらたまんねぇ」

「そうじゃ。カンクロウはそういう星廻…」

「俺の星廻りの話はもういいから。この際大事な話題に一切関係ないから」

「何を言う。皆のサンドバッグは大事じゃぞ」

「噛ませ犬は特に可愛がってやらにゃやさぐれちゃうからのう」

「…黙ってろよ…。それこそやさぐれんぞ」
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