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連れ立って歩く 其の五 木の葉編 ー干柿鬼鮫ー

第9章 年始ー長丁場ー



「…てめえ。何時来た、いの」

「何時ってまぁ、襟首掴んで掴まれて、熱く見つめ合っちゃってる辺り?」

腰に手を当ててにやにやしたいのが、ねえ、と、ばかりに背後のカンクロウを振り返る。腕組みして興味深そうにシカマルとテマリを見比べていたカンクロウが、シカマルと目を合わせてにやりと笑った。

「まぁその辺りかな。随分楽しそうじゃんよ、色男?」

「そっちこそ何だよ。何でお前ら連んでんだ」

「連んでんじゃねぇよ。ナンパしたんじゃん?」

な、と、カンクロウに見下ろされて、いのは朗らかに笑った。

「あはは。そうそう。ナンパされちゃったんだよ」

「色男はどっちだよ。わざわざ年越しにナンパしに出張って来たのか。砂は随分暇なんだな」

シカマルが面白くもなさそうに口辺を下げる。
カンクロウはチクリと刺さった皮肉を受け流して肩を竦めた。

「仕事納めはすんでるからよ。年越しに暇ってのは悪かねえだろ。仕事が出来る証拠じゃん」

「カンクロウが仕事が出来るというより、仕事の出来る有能な部下に恵まれているということだ」

テマリが律儀に言い直して、カンクロウは顔を顰めた。

「この流れでわざわざ言うこと?それ」

「初詣に行きたいっていうから連れて来ちゃった。いいよね?テマリさんも行くんでしょ?」

いのがシカマルを押し退けてテマリに尋ねる。シカマルはいのを押し返してますます口角を下げた。

「いや、こいつは腹が渋るかも知れねぇから遠慮しようかと…ぁづッ、何しやがんだッ。おいコラいの!」

バチンといのがシカマルの背中を叩いた。

「アンタに聞いてんじゃないわよ。テマリさんに聞いてんの」

「勿論行く。行くとも」

頷いたテマリの笑顔が心なし、ほんのちょっとだけ、ぎこちなく見えた。

「もし何なら、アタシたち先に行ってるから二人は後から…」

決して勘が鈍くないいのがすかさず言うと、シカマルが全然空気を読まずに手を振った。

「忙しいことなんかねえよ。こっちも今出ようかってとこだったんだ。丁度いい」

馬鹿。

いのとカンクロウは目を見かわして口をへの字に溜め息を吐いた。

「賑やかな方が楽しいものな」

気を取り直した様子のテマリが健気に言う。いのは眉を下げてテマリに笑いかけ、次いで眉を上げてシカマルを睨みつけた。

「気の回らないヤツ…」

「何がだよ」

お前がだ。

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