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連れ立って歩く 其の五 木の葉編 ー干柿鬼鮫ー

第8章 年納め



薄桃色の篝火草があちらにもこちらにも。
華やかと言えば華やかだが、明るい花色が溢れすぎて些か食傷する。

政務室の机に頬杖した綱手は、先程から落ち着きなく窓の表を気にするシズネを見て呆れ顔をした。

「そんなに雪が気になるのか」

「なりますよ。あまり積もると初詣が難儀するじゃないですか」

「初詣なんか行けると思ってるのか。仕事納めの目処も立ってないのに」

意地の悪い顔で言った綱手にシズネは眉を跳ね上げた。

「終わらせて貰いますよ。祭事を疎かにしては罰が当たります。お正月は初詣に行って火影自ら里の安泰を祈願して頂きますからね。それからお節とお雑煮を食べてお神酒を呑んで、綱手様にはゆっくり寝正月の予定を組んでるんです。骨休めしなきゃ体が保ちません」

「だってまだあるんだろ、片付けなきゃならない仕事が」

綱手が不貞腐れ気味に言ったそのとき、

「じゃーん!!」

馬鹿にテンションの高い声がして窓が開き、雪混じりの冷たい風が吹き込むと共に、室に入り込もうとした何かが落下して行った。

「……何だ?」

「…?何でしょう?」

「多忙な私を慰めるためのアトラクションか?」

全開で雪が吹き込むままの窓を眺め、綱手が半ば呆然とシズネに問う。シズネは窓を閉めついでに表を覗き込み、首を振った。

「アトラクションじゃなくて自来也様だったような気が…。今ちょっと雪ではっきり確認がとれませんけど、自来也様らしき何かが下に落ちてます」

「私を慰める気ならこんな茶番は逆効果だぞ」

「いやだから慰めでもアトラクションでもなく自来也様なんじゃないかと思いますよ、あれは」

「何でアイツがわざわざ窓から入って来るんだ」

「さぁ?何かのサプライズでしょうか」

「落ちるとこまで含めてか。まあ、悪くない落ちだったかな。自来也らしいものが落ちたのを見たら、少ーし笑えた」

「落ちたのはただのアクシデントだと思いますけど。雪で滑ったんですかね?」

「ふーん。この寒いのに何をしているんだろうな、アイツは」

「実はお願いして幾人かの方に綱手様のお仕事を手伝って頂いたのです。綱手様でなければならない分を除いて、他の者でも何とかなりそうなところを大車輪で」

「何とかなりそうなって言っても、内情に通じたそれなりの連中は皆自分の仕事に忙しいだろう。無理をさせるな」



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