第7章 閑話休題?
「ああ。今牡蠣殻は木の葉に居るんだっけか」
飛段の思わせ振りにデイダラが頷いた。
「そういうことか。うん」
何となく話が途切れた。
向こうでまだ揉めながらガタガタやっていたサソリが、自分で削り散らかした卓の木っ端に足を滑らせて派手に転倒した。角都はそれを助け起こしもせず、椅子を据えてとうとうと自分の葬式のプランを語っている。
それを見るともなく見ていた三人は、またすぐ飽きて目を逸らした。
「依頼を受けたのはいいけどよ。どうすんの、鬼鮫は」
爪先を掻いてフッと息を吹き掛けた飛段に、イタチがすげない視線をくれて口を引き結ぶ。
「何か考えでもあんの?」
飛段はそんなイタチの様子に頓着ない。重ねて尋ね、卓の上にドンと足をのせる。
「ちょっと面白ェことになったよなァ」
「鬼鮫が何を考えているかまで俺にはわからない」
「ただ任務をこなすだけですってか。まぁそらそうだろうけどよ」
「杏可也は…」
デイダラが、言いかけて一度口を噤み、イタチを見てまた口を開いた。
「…草は何て言ってんだ?具体的にどういう依頼を受けたんだ?うん?」
「それはお前が知る必要のないことだ」
「まぁな。依頼を受けたのはオメェらだ。俺にゃ関係ねぇこったけど…」
言い淀んだデイダラにイタチは目を細めた。
「言いたいことがあるなら聞く。はっきり言え」
「いや。ねぇよ。うん」
鼻を啜り上げて咳き込み、デイダラは唸り声を上げた。
「灯油買って来る。これじゃ年越す前に熱が出るわ」
「おー、じゃ。ついでに赤いきつね買って来てくんねぇ?」
手を上げた飛段に半眼を向け、デイダラは立ち襟を引き上げた。
「赤いきつねはうどんだぞ。うどんでいいのかよ、うん?」
「あン?だっけか?じゃ、どん兵衛でいいや」
「は?緑のたぬきじゃなく?」
「どん兵衛」
「なら何で赤いきつねとか言い出した?緑のたぬきと間違えたんじゃねえの?本命は緑のたぬきじゃねぇわけ?」
「どん兵衛だっつってんだろ、しつけぇなァ」
「…オメェの思考回路がスッキリしなくて何か気持ち悪ィ…」
「俺がどん兵衛でいいってんだからそれでいんだよ!そんなにスッキリしたきゃオメェが緑のたぬき食やいいだろ!?好きなモン食わせろよ!」
「俺は年越し鍋焼うどんだから。うん」
「オメェも全然スッキリしてねぇじゃん…」