第7章 閑話休題?
「誘われたって行かねぇよ。テメー人の勧誘は断るくせに自分は誘わなくても人がついてくと思ってンの?図々しいねぇ」
「宗教の勧誘と一緒にすんなよ。しかもジャシン教とかいう狂乱の殺戮集団へのお誘いとよ」
「ちげーよ。殺戮集団じゃねえし。敬虔な信者さんの群だ」
鼻を鳴らして顎を上げた飛段が、そのまま広間をぐるりと見回した。
「おい。そういやうちのバカップルは何処だ?」
「リーダーと小南なら室で年忘れの映画観賞会をしている。年越しはピザを食うから蕎麦は要らんそうだ。要るも要らんもそもそも蕎麦がないというのに」
冷えきったストーブの上から冷たい薬缶を取り、ひんやりした湯呑みに注いだ冷水を呑んだ角都が、鳥肌を立てて身震いした。
それを見たサソリが厭な顔をする。
「染みッ垂れてんな…。気が滅入る」
「何故あの二人はピザを食っている?蕎麦と餅はないがピザならあるのか?」
お茶なしの団子を悲しそうにぼそぼそ食べていたイタチに角都が冷たい目を向けた。
「今お前が食っている団子と一緒だ。自腹を切ってピザを食ってるんだ、あの二人は」
「…ああ、成る程!」
飛段とデイダラとイタチが揃ってポンと手を打った。
「自腹な?はぁはぁ、成る程ねぇ。ボーナス使えっつぅことだ」
「そうか!手前の室は手前の灯油であっためたらいんだよな!?うん!」
「マイ火鉢さえあれば湯を沸かすなり団子を焼くなり好きに出来る。お焼きもがね餅も思いのままだし、暖も取れて一石二鳥。…そうか…。ボーナスとはそうして使うものなのだな」
「…何なんだおめぇらのその馬鹿さ加減は…」
「お前らの懐は暖かい筈だ。貧乏な会社に集ってないで各自の財力で快適に年を越せ」
サソリと角都が呆れ顔をする。が、角都はサソリを見て眉根を寄せた。
「いや待てサソリ。お前もだ。暗けりゃ自腹でLEDランタンでも発電機でも買って好きなだけ眩しくなってろ。ここで文句を言ってるんじゃない」
「だから金なら出すからここのアンペアを上げろって話をしに来たんだ、俺は」
「…お前が金を出す…?ほう…。詳しい話を聞こうか」
椅子を引いてサソリの側に陣取り、身を乗り出した角都にサソリは露骨に体を引いて厭な顔をした。
「詳しいも何もそのまんまの話だろ。止めろ。こっち向くな。あっち行け。気持ち悪…おい止せ。それ以上近寄ったら埋葬すんぞ」