第2章 砂
隠居二人にからかわれながら、カンクロウは満更でもなさそうに赤ん坊の一平と戯れた。
「…君はいい父親になりそうですね…」
波平に言われて、ハッとする。
「止せよ。いい親父になるとか正直あんま褒められた気がしねえじゃん」
仏頂面のカンクロウに隠居二人がうんうんと頷いた。
「そういう男はアナタとはいいお友達でいたいのコースを辿りがちじゃもんな」
「まだまだモテモテの夢が捨て切れん生臭いカンクロウにゃ酷な褒め言葉じゃわ」
「…モテモテの夢って何じゃん?生臭い俺ってどういう俺よ?人を何だと思…」
「お前は兎も角我愛羅にゃファインボーイズなんぞ要らんぞ。無理やり貸すのは止めとけ」
「きゃー!!!!何ソレ!何でそんな事知ってんの!?それは俺と我愛羅の男同士の内緒の秘密…」
「訳が分からん顔でファインボーイズ持った我愛羅が隠居部屋に来たときゃびっくりしたわ」
「そりゃ我愛羅にしてみりゃ意味不明じゃったろう。気の毒じゃな」
「テマリは腹抱えて笑っとったがな。息も絶え絶えとはあのことじゃ」
「わー!!!!な、ななな何でテマリにまで知られちゃってんの!?何なの!?また何か謎のネットワーク!?俺マークされっ放し!?」
「バキもな。もう少しで笑いそうなとこまで追い詰まっとったが、男の情けで我慢しとったな。変な顔になっとって気の毒じゃった…。カンクロウ、お前あちこち気の毒にして悪いヤツじゃな」
「バキにまで!?ちょ、アンタらどんだけ口が軽…」
「カンクロウくん。ファインボーイズ読んでもモテませんよ」
「ぎゃーーーッ!!!!わかってる!わかってンだよ、そんなこたァ!ちょっと夢見るくれぇいいじゃん!?駄目なの!?夢もみちゃ駄目!?」
「駄目」
「駄目」
「駄目」
「…わかったよ。二度と買わねぇよ、ファインボーイズなんか」
「いいと思うぞ、それで。我愛羅にごめんなさいじゃぞ」
「ついでに寝台の下の内緒の秘密も始末せんか?清純巨乳派なんじゃな、お前。ドリーマーじゃの!ぶッ、ぎゃはははは!」
「だっ、わー!!!わーー!!!!わーーー!!!!何でそんな事まで…ッ!アンタら俺を殺す気か!」
「いかがわしい本を所持している事が露見したくらいで死んじゃうんですか、君は?随分簡単なんですねぇ…。気の毒に」