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連れ立って歩く 其の五 木の葉編 ー干柿鬼鮫ー

第6章 年の瀬、花屋の二階で



「だから、わかんねぇって。ホント好きだよな、女子はこの手の話がよ」

「好きで悪いか」

「いや、悪かねぇけど」

「なら話して下さいよ。シカマルもそういうこと話さないから、もう気になって気になって。うちのバカ、テマリさんに粗相してません?」

「うちの跳ね返りも粗相しかねねぇからなぁ。どっちもどっちで仲良くしてんだから、ほっときゃいいじゃん」

「まあまあまあまあ、そう言わず」

「あんま近寄んなって!お茶が呑み辛ぇじゃん!こぼすこぼす!」

「こぼしたらまた淹れてあげますって。大丈夫です」

「大丈夫じゃねえよ。火傷したらどうすんだよ、アンタが」

あらヤだ。優しい。

いのが意外そうな顔をして、ちょっと顔を赤らめた。

「カンクロウさん、見かけによらず、意外と優しい…」

「見かけによらず意外って何だ。思ったことそのまんま言うな。少しは呑み込み易く優しさのオブラートで包んどけ」

「オブラートって反って呑み辛くありません?喉につかえちゃう」

「そりゃ包み方が悪ィんじゃねえか。あれにゃコツがあんだよ」

「コツ?」

「薬を包んだら水に浮かべてちょっと待ってからすくって呑む。オブラートがゼリーみてぇになるからするっと呑めんだよ」

「へええ!成る程。いいこと聞いた。今度試してみよっと」

「試せ試せ。処方された薬はキチンと呑まねぇとな。苦いとか呑み辛いとか言ってちゃ駄目だぞ」

「滅多にないですけどね。薬呑むようなことなんか」

「ああ、そらいいことじゃん。元気でいるにこしたこたねぇからよ」

「あはは。ジジくさ…」

「…アンタは薬の呑み方よか物の言い方を覚えた方がいいぞ。可愛い顔してちょろちょろちょろちょろ口が滑っ…」

「やだー!可愛いなんてそんなー!…羊羮食べます?素甘もありますよ?」

「わかり易ィ…」

「何?」

「いやいや。じゃ素甘貰うかな」

「もー、遠慮しないで下さいよ!羊羮も出しちゃいますね。お煎餅いかが?どんどん食べちゃって下さい」

「…可愛いなぁ、アンタ…」

「何?」

「別に。素直なのはいいことだって話」

「はぁ」

カンクロウはお茶を啜って表を眺めた。
この少しの間にも雪はどんどん降り続けて、嵩を増して町を覆いつくしている。

テマリのヤツ、どうしてっかなぁ。
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