第1章 嫌よ嫌よも好きのうち(灰羽リエーフ)
その不安は的中して。
リエーフ云々では無く、全体的なレベルの違いで音駒は負けた。
まぁ、リエーフがスパイクミスしたり、ブロックする腕の間を抜かれたり、レシーブしたボールをホームランしなきゃ、もうちょっとマシな試合になっただろうけど。
それを、嫌味がてら帰り道で話した。
「ちゃこはホントに俺の事ばっか見てるな!」
落ち込むとかに縁がないリエーフは、それすら逆に喜んでいる。
「また今度、練習試合の時だけでも来てくれよ。ちゃこにキャーキャー言って貰えるように頑張る。」
「キャーキャー言うような性格じゃないからね、私。」
「そうだけどさー。やっぱ彼女の応援って嬉しいじゃん?」
ピタッと、足が止まる。
今、何か、身に覚えのない事を言われたような気が…。
「どうした?ちゃこ、早く帰ろーぜ。」
私の手を取って歩かせようとしてくる。
それでも、動かない私の顔を覗くようにリエーフが屈んだ。
「ちゃこ、顔真っ赤。」
そんなツッコミが欲しい訳じゃない。
「あー、ちょっと、待って。私とリエーフって付き合ってるの?」
「違うのか?ちゃこは俺が好きで、俺はちゃこが好き。両思いだろ?」
私、リエーフが好きって言ったか?
そこから解決したかったけど。
「あ、そっか。」
勝手に一人で納得した上に…。
「俺さ、ちゃこが好き。俺と付き合ってくれ。」
その場に膝を着いて、道の真ん中で告白してきた。