第1章 嫌よ嫌よも好きのうち(灰羽リエーフ)
それは嫌だと返す事が出来なかった所為で、本日の授業が終わるなりリエーフが迎えに来てしまう。
「きょ、今日は用事あるから無理っ!」
「俺より大事な用事あるのか?」
「面倒臭い女か!」
「俺は男だ!」
なんとか断ろうとしたのに、強引さと天然を兼ね備えたリエーフには伝わらず。
話の方向が逸れてしまった。
多分、いくら何かを言っても無駄。
きっと、嫌がっているとは微塵も思っていないリエーフは、私が見学に行くまで粘る。
諦めの溜め息を吐いて体育館に同行した。
その最中に、私が見学していなかった間、あった出来事を話してくれて。
驚くべき事実が発覚する。
身長とスポーツのセンス。
それしか取り柄が無いように見えたリエーフが、なんとレギュラーに入ったらしい。
確かに、この身長は使わないと惜しいものだけど、大丈夫なんだろうか。
本気で心配していると、いつの間にか体育館に着いていた。
その中には、何故か他校生が居る。
どうやら、今から練習試合があるようだ。
「見てろよ!俺がガンガン点とって、音駒が圧勝してやるから!」
自信満々な言葉を置いて、アップをしに行くリエーフを見送る。
その後、始まった練習試合では、スタートからリエーフが入っていた。
ここまで来たのだから。
あそこまで自信があるようだったから。
試合を観るのに言い訳なんか要らないのに、そんな事を考えて、この場に居座る事にしたのだけど。
なんというか、不安しか無かった。