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【HQ】脳内妄想小部屋

第4章 月を捕まえる(月島蛍)


本当に捕まえられないのなんて分かっている。
だけど、一瞬でも私のものになるのなら、それで良いと思った。

「風邪ひくよ。…あ、ナントカはひかないんだっけ?」
「…馬鹿は風邪をひいても気付かないって話でしょ。私、気付いちゃう派なんだよね。残念。」

水音だけ響く中に月島の声を聞いて、また水を掬おうとした手を止めた。
プールから上がって、プールサイドに脱いでいたサンダルを履く。
月島のいる場所近くのフェンスに寄り掛かって月を見上げた。

月明かりに照らされた、月島を横目でチラっと見る。
やっぱり、綺麗だ、この男。
やっぱり、私はこの人が好きだ。
名前とか関係なく、こんな馬鹿馬鹿しい事に、からかいながらも付き合ってくれた所とか。
今もまだ、一緒に月を見上げてくれている所とか。

「…月が、綺麗ですね。」

言葉の意味を知らない訳じゃない。
でも、月オタクな私が言ったら、そうは聞こえない。
これが、私の出来る最高の告白だけど、きっと伝わらない。

そう、思っていたのに。

「アイラブユーの意訳だね。」

一言で、意味を分かっていると返される。
でも、それは返事にはなっていなかった。
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