第4章 月を捕まえる(月島蛍)
ノートの一件以来、月島が話しかけてくれるようになる。
主に勉強の事についてだから、馬鹿にしてるか、からかっているか、のどちらかなんだろう。
寧ろ両方な気がしないでもないけど。
「そんなんで宇宙飛行士になるとか言ってるの?」
こんな事を言いながら少しだけ勉強を見てくれたりしているのは、優しさだと思いたい。
いや、私が考えて答えを出す前に嫌味ったらしく正解を言ったりするのは…。
見てくれている、より、遊んでいる。
完全に、優しさからじゃない。
それでも、惚れた弱みはあるもので。
優しいのだと思い込んで、少しでも会話が出来る時間を楽しんでいた。
月島も、私で遊んでいるだけであっても、少しでも楽しんでくれているなら嬉しい。
そんな感じの、クラスメイト以上だけど、友達未満みたいな関係。
普通の雑談をしたりは、しないからね。
それでも満足してしまう私は、完全に彼に惚れ込んでいる。
膨らんでいく恋心を自覚しながら、この関係が壊れるのが怖くて、告白をするでもなく。
一学期が終了して、長い長い夏休み…月島に会えない日々に突入した。