第2章 後編
ロボットがここにきて2か月が経った。
2人の間には最初に比べれば、会話も増えた。
ローの顔色も大分戻り始めており、彼女も少しだけそのことに安堵していた。
だけど、どうやらタイムリミットは近づいているようだった。
静寂な部屋の中で電伝虫の声が鳴り響く。
ユーリは受話器を取ると、相手はコラソンだった。
てっきりローに用事があるのかと思えばどうやら違うようで、ローがいない場所で話すように言わた。
時間帯は深夜。ローは既に眠っていたので、彼女が部屋から出て行ったことには気づかない。
部屋から出て少し離れると、再び受話器を手に取る。
そして電話で伝えられた話。
彼女は相変わらず無表情だったが、少しだけ受話器を持っている手に力が入っていた。
「なぁ、あんたは対象者の心が読めるんだろ?もう時間がないんだ。頼むからあいつの…ローの願いを叶えてやってくれないか?」
コラソンからローの望みを聞かれたが、無意識に彼女はそれを言わなかった。
それをコラソンがどう思ったのかは分からない。
だが、今のローを助けれるのは彼女だけだ。
コラソンはローのことを全て彼女に任せてくれた。
ただのロボットである彼女を信頼してくれる彼が、少しだけ嬉しかった。
「話は分かりました。早急に対処させて頂きます」
彼女はそれだけ言うと受話器を置いた。
向かう先はローの自室。
今の時間帯は深夜なので、恐らく彼は寝ているだろう。
彼女の手にはナイフが持たれていた。