第2章 後編
「そうか、それはよかったな」
ローの話を聞いて、コラソンが安心したように言葉を発した。
大した話はしてないのに、どこに安心できる要素があるのかは分らないが、特に突っ込む気にはなれなかった。
「…なぁ、そろそろこっちに戻ってきたらどうだ?」
少し前に、つる中将にも言われたその言葉。
ローはため息を吐くと、まだやることがあると言ってやんわりと断った。
その言葉に、コラソンから少しだけ困ったような雰囲気が伝わってきた。
だが、彼はそれ以上何も言ってくることがなかった。
「分かった。あまり無理はするなよ……何かあればすぐに言ってこい」
コラソンはそれだけ言うと電話を切った。
ローは受話器を置くと、座っていた椅子の背もたれに寄り掛かる。
天井を見上げれば変わらない風景広がっている。
視線を前に戻せば、彼女が食事を運んでいる姿が見える。
そして机に目線を向けると、何時ものように散らばった書類。
ローはゆっくりと目を閉じた。
まだやることがあるから、ここにいる。
じゃぁそのやることって…なんだ?
「…っ」
その先を考えてはいけないような気がして、ローは再び書類に目を通し始める。
目の前にある書類が何なのかも、彼は分かっていない。
その姿を、ユーリは静かに見つめていた。